2007年02月12日

Michael Jackson「HIStory: Past,Present and Future,Book I」

1995・ソニーミュージックエンタテインメント
Historyマイコー無罪記念!ファオ!ということでこれは95年にリリースされたベスト盤ですが2枚組のうち1枚はまるまるニューアルバムです。ベスト盤に数曲新曲を入れるのは常套手段ですがアルバム1枚分の新曲を追加してしまったのは見たことありません。さすがマイコー。スケールが違います。人によっては「なにそのドラクエIII買ったら一緒に抱き合わせでクソゲーも掴まされたみたいな商法」と思われるかもしれませんが断じて違います。マイコーですから。ンダッ!

ジャケットにもあるように、ベスト盤発売に際してマイコー、巨大な自分の銅像を作り、PVではおびただしい数の人達がそのマイコー銅像のもとに集い、「マイケルジャクソン・イズ・キングオブポップ!」とサブリミナルに連呼するという、なにかもう常人の理解の範疇を超えたすごいことになっています。世界的一大事です。アーオッ!

さてまずはDISC1のベスト盤。言うまでもなくヒット曲だらけ、名曲だらけであります。全米1位曲が8曲、TOP10入りなら14曲。それでもヒット曲が多すぎて収まりきらず、ベストなのに未収録なのはありえない「Smooth Criminal」やこれも全米1位の「Dirty Diana」、ほかにも「Off The Wall」やら「Another Part Of Me」「In The Closet」「Will You Be There」といったヒット曲の数々が収録漏れしております。二枚ともベストにすればよかったのに。後に出た「Number Ones」で多少カバーされているけど今度はダブり多すぎます。打ち消し線はマイコーによって修正されました。ヒーッヒーッと奇声を発しながら修正されました。

この盤はリマスターされていて、オリジナル盤に慣れた耳だと音がものごっつ良いです。冒頭「Billie Jean」のイントロからウヒョーって感じです。後にオリジナルアルバムのリマスター盤も出たけど、この盤にはかなわないような・・・。ファンでない方でも「Bille Jean」「Thriller」「Beat It」「Bad」「Black Or White」あたりはご存知かもしれませんが、特に好きでお勧めしたいのは「Man In The Mirror」ですかね。優しげなメロディーと、後半のゴスペルコーラスとの掛け合いが感動的で痺れるメッセージソング。しかも踊れるし、マイコーの「ンダッ」「ファーオ!」といった奇声も随所で聴けますし、文句なしです。後半はいつも物真似して歌いながら聴きます。メイクザッチェーンジ。

さてもう1枚の新作のほうが問題だ。ジャネットとの兄妹デュエット「Scream」で幕を開けますが、1枚通して歌詞が強烈です。というのもマイコーはちょうどこの時期に、幼児虐待疑惑や整形疑惑など現在まで尾を引くスキャンダルに晒され出したのでありまして(整形はもっと前からだけどな)、それに対する怒り、不満、批判、釈明etcが赤裸々に綴られており、ほとんどそれをぶちまけたいがためにまるまる1枚新作にしたのではないかと思える様相を呈しております。

例えば冒頭「Scream」から「僕にプレッシャーをかけないでくれ」と連呼しておりますし、続く「They Don't Care About Us」でも「僕の生活はどうなってしまうんだ 僕は警察の愚行の被害者だ」とお嘆きの様子。タイトルもズバリな「Tubloid Junkie」では「雑誌で読んだからといって テレビで見たからといって 既成事実にしないでくれ」と訴えかけております。ニューアルバムっていうか、記者会見のようだ。CDで記者会見。さすがマイコー、やっぱりスケールが違います。

また、今回の裁判を担当していたスネッドン検事は本作発売当時の幼児虐待疑惑も担当しており、既に本作収録「D.S.」において「♪トム・スネッドンは冷淡な男~ トム・スネッドンは冷血漢さ~」と攻撃されています。20回以上言っています。負けじと粘着です。「This Time Around」「Money」「2 Bad」あたりもスネッドン検事への当てつけでしょう。個人攻撃で4曲も作ってアルバムに入れてしまうマイコーの怒りパワー。やはりスケールが違います。思えばここから10年に渡る抗争に今回終止符が打たれたのだと思うとなんだか感慨深いものがあります。

というわけで、スキャンダルに対するマイコーのステイトメント的な要素が強く、ポップソングとしてはどうも・・・という部分もあるんですが、トラックがかっこいいのでそれなりに聴けますね。「Scream」はやっぱりかこいい。あとバラードではマイコーらしい壮大なメッセージソング「Earth Song」や当時はまだ新鋭だったR.Kellyによるラヴソング「You Are Not Alone」(全米1位)、「ぼくはピーターパンなんだ」と真顔で語るこれまたマイコーらしい幼児願望ソング「Childhood」あたりが聴き所。スタンダード「Smile」のカバーにおける歌唱もいい感じ。アルバムのギスギスした雰囲気がこの曲で救われているかな。ビートルズ「Come Together」のカバーも、んんん、なんだかとにかくマイコーの世界で、いいぞ(笑)。

※2005.6.15の文章を再録
posted by 無駄帖 at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | | 更新情報をチェックする
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